自然栽培とは
自然栽培とは、簡単に説明すると、自然の力に頼りながら作物を育てる栽培方法のことで、多くの場合、農薬や肥料を使用しないことで知られています。それに加えて、耕さない栽培方法(不耕起栽培)や一つの畑に複数の作物を育てる方法(混植)などを取り入れながら作物を育てます。
阿波ツクヨミファームのリジェネラティブ農業(自然栽培)に関する記事はこちらから
では、この自然栽培はなぜ持続可能だと言われているのでしょうか。主に環境の観点と経済的観点からお話します。
環境の観点からの持続可能な理由
生物多様性を向上させる自然栽培
自然栽培で最も重要な要素の一つに、生きものたちの豊かな個性とつながりである生物多様性があります。
自然栽培では、通常行われる耕起(耕す作業)や整地(土地をトラクターなどで整備すること)の代わりに、作物の刈り株、わらなどの作物残渣(前回の作物の残り)を畑の表面に残し、虫や植物の根の力を借りて土を耕します。また、害虫対策として、農薬を使用する代わりに虫が苦手な植物を植える(コンパニオンプランツ)などします。このような自然栽培の様々なアプローチによって、土壌の微生物が増えると言われています。
生物多様性が損なわれると…
多くの土壌微生物は、環境の循環を促しています。土壌が保全されていると比較的早く緑が回復するとも言われており、緑化の効果も期待されています。
では、生物多様性が損なわれると、どのようなことが起こるのでしょうか。
土壌の生物の多様性が損なわれている状態の一つに土壌劣化があります。土壌劣化とは、様々な原因で土壌が劣化し生態系の機能や生産性が低下していくことで、土壌侵食や養分不足、砂漠化や汚染などがあります。世界の陸地で劣化が進んでおり、その内訳の2割が耕地だと言われています。
この土壌の劣化は砂漠化や干ばつの原因ともされています。日本ではこのような問題はまだ起こっていませんが、大規模農業などが発展したことなどによって、日本の面積の95倍の土地がこのような問題に直面していると言われています。
地球がこれから健康でいれるために
このように、より多様な生物の力を促し、その力を借りて野菜を育てている自然栽培は環境的な観点から持続可能であると言われていると考えています。
経済的な観点からの持続可能な理由
では次に経済的な観点から、人間にとって持続可能であると言える理由についてです。農業を続けるには様々な費用がかかります。例えば、農薬や肥料、機械使用時にかかるエネルギーや機械の維持、種・苗の購入などです。
さらに、連作をしている場合、同一作物を同じ畑で繰り返しつくり続けることによって生育不良となり、収量が落ちてしまう連作障害が起こる可能性があります。このような連作障害の対処法として、作物の生育に応じて必要な施肥を行う、有機物を投入する、湛水管理をするなどが勧められていますが、これらをするにはどれもコストがかかります。
自然栽培では、先ほど触れたように土壌の微生物の力を最大限に活かして作物を育てるため、肥料や農薬を使用しません。また、混植・多品目少数栽培で連作を避けることも可能であるため、連作障害に対応する必要がなく、このようなコストがあまりかかりません。
このように、多様な生物がいる土壌の状態が安定すると、新しく作物を育てるたびに肥料なども新しく加える必要がほとんどないなど、経済的にも続けやすい(持続可能性がある)といえます。
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阿波ツクヨミファームではこの記事で紹介した自然栽培で野菜を育てています。自然の力で育てた栄養たっぷりのお野菜を試してみませんか?
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