【SEED POLICY】固定種、交配種(F1種)って?ツクヨミファームの品種について

【SEED POLICY】固定種、交配種(F1種)って?ツクヨミファームの品種について

家庭菜園を楽しむ際や、野菜を購入する時など、固定種と交配種(F1種)といっても何が違うの?と考えた方もいるのではないでしょうか。
実際にツクヨミファームでも交配種(F1種)の「安全性」に関するお問い合わせをいただくことももちろんあります。
一般的にスーパーなどの小売店で販売されている品種は交配種(F1種)の場合が多くなっています。
伝統野菜(在来種)や自然栽培に取り組んでいる生産者など、こだわって選択する方が多い固定種ですが、その違いとは?
それぞれどんなメリット・デメリットがあるのか?
交配種の「安全性」は本当に懸念する必要があるのか?
固定種をこだわりを持って選択する理由やその魅力について掘り下げていきます。

 

固定種・交配種(F1種)とは


固定種とは自家採取ができるもののことで、その品種が固定された地域の気候や風土に適応しているのが特徴です。全国各地で栽培されている「伝統品種」と呼ばれるものは固定種であることが多いです。
一方、交配種 (ハイブリット・F1)とは、「優劣の法則」技術で交配した種のことで、大きくて味の良いものを収穫期をコントロールしながら作ることができます。

 

固定種のメリットとデメリット


メリット
・2年目に種を買う必要がない
自家採種ができるため、2年目に種を買う必要はありません。固定種からは親と同じ形質を持った種を採取できるため、自家採種した種を翌年撒いて、同じ品種の作物を作ることができます。つまり、翌年から種を購入する必要がなくなり、無肥料無農薬で育てていた場合、2年目には種のコストを0にすることができます。
・その土地の環境に適応していく
固定種はその畑で成長するために遺伝情報を紡いでいきます。そのため、自家採種を続けていくうちに、その土地の気候や風土に適応していきます。つまり、私たちが自然栽培で野菜を育てれば、自然栽培に特化した種が取れます。


デメリット
・収量や品質が少ない
代々形質を受け継ぐといってもそれが全て品質の良いものになるわけではありません。固定種はもともと遺伝的多様性を持っており、あえて形状にバラつきを出すことがあります。そのため、収穫できる時期や大きさ、品質にばらつきがあります。大量生産をすることが求められる農業では管理が非常に大変です。


交配種のメリット・デメリット


メリット
・発芽や生育がそろいやすい
交配種は発芽時期や生育期間を管理でき、形などの見た目も揃えることができます。収穫の時期を管理できるということは、収穫の時期を合わせてまとめて収穫することも、収穫の時期をずらして負担を減らすこともできます。
・病気に強い
交配種には特定の病気に対する耐性を持った品種などもあり、その野菜で起こりやすい病気を防ぐことができます。これは、農薬や肥料を使用しないツクヨミファームにとって大きなメリットです。
・一般受けしやすい(子供も食べやすい)野菜を作ることができる
苦みや香りが強い野菜でも、交配することで、食べやすく一般受けする野菜を作ることができます。例えば、フルーツトマトや苦くないピーマンなどです。


デメリット
・毎年種を買わなくてはならない
交配種から取れた種を使っても、同じ品質の野菜を作ることができません。そのため、昨年と同じものを作りたいときは、再度種を購入する必要があり、コストがかかります。


交配種は危険なのか?


結論からいうと危険ではありません。「交配種は人間が作ったものだから危ない」「自然なものを口にしよう」というようなキャッチコピーを目にして、野菜を選ぶときに不安を感じたことがある人もいるのではないでしょうか。このようなキャッチコピーは固定種を勧めるときや、交配種を否定するときに使用されており、この過度な表現は消費者の誤解を生んでいます。
では、なぜ交配種は危険と言われているのでしょうか。その理由の一つに正常に花粉形成ができない現象(雄性不稔)が指摘されており、簡単にいうと「種子をつけないのは自然な現象ではないから危険」と解釈をされているようです。しかし、その雄性不稔は必ずしも人工的で人間の体に害があるわけではありません。

固定種は栽培するために扱われる栽培種のことで、子孫を残すことよりも栽培を目的とされており、完全に天然のものとは言えません。一方、天然・野生の植物は野生種と呼ばれています。野生種で特に雄性不稔が懸念されているアブラナ科の5割は自然に雄性不稔となります。つまり雄性不稔になるということは、子孫を残すために交配しやすく他の遺伝子を取り入れるために雄性不稔を自ら選んだということになります。植物が自然と選んだ生存・進化の手段を「天然じゃないから危険だ」と言ってしまうのには違和感を覚えます。交配種を作るには様々な個性的な固定種が必要なので固定種の育成にも繋がり、交配種は現代の農業に欠かすことができないと感じます。

ツクヨミファームは固定種も交配種も使用しています
ツクヨミファームは今後育てるの品種を選ぶ時、

  1. 育てていて楽しみがある
  2. 形、姿が美しい
  3. 味が良く、収量量が多い
  4. まだ私達が育てたことがない
  5. 自然栽培で育てるのが難しい

ということを基準にしています。
そのため、固定種に限らず、育てたいと思えば、交配種であっても育てます。

自然農で育てているため、少ない肥料でもある程度の収量を得られる特質(少肥耐性)が必要だったり、自分たちが育てたものから種を取ること(自家採種)もしていたりします。そのためツクヨミファームの場合、固定種の方が交配種よりも多いです。

しかし、ツクヨミファームは一つの畑に様々な植物を植える密生混植を栽培方法として取り入れてます。ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜は虫を寄せ付けやすいため、交配種を扱う可能性が高くなります。


最後に


ツクヨミファームでは育てているお野菜は固定種に限らず、交配種でも育てたいものを育てています。そして、自然農法家の多くは固定種にこだわり、交配種を否定しています。ここまで固定種と交配種の特徴に注目しながら交配種が危険か危険じゃないのかを考えてきました。「交配種が危険だ」と言うことは、自然が選択していることを人は不自然だと言っていることになってしまいます。これからも自分自身がどういう思いで、野菜、その品種、栽培方法に向き合うかが大切だと改めて感じます。
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